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東京地方裁判所 昭和40年(ワ)3221号 判決

破産会社株式会社

竹崎商店破産管財人

原告 島田徳郎

右訴訟代理人弁護士 石川幸佑

被告 田新産業株式会社

右訴訟代理人弁護士 渡辺重視

同 高橋武

同 小玉聰明

右訴訟復代理人弁護士 小山勉

主文

一、被告は原告に対し金六三万四、四一〇円およびこれに対する昭和三八年一〇月二一日より完済にいたるまで年五分の割合による金員を支払え。

二、原告のその余の請求を棄却する

三、訴訟費用は五分し、その四を原告の負担とし、その一を被告の負担とする。

四、この判決の第一項に限り、原告において金一〇万円の担保を供するときは、仮に執行することができる。

事実

第一、申立

(1)  請求の趣旨(原告の申立)

一、被告は原告に対し金三〇五万七、三七八円および内金二四二万二、九六八円に対する昭和三八年一〇月一日より、内金六三万四、四一〇円に対する同年同月二二日より、それぞれ完済にいたるまで年五分の割合による金員を支払え。

二、訴訟費用は被告の負担とする。

仮執行の宣言。

(2)  被告の申立

一、原告の請求を棄却する。

二、訴訟費用は原告の負担とする。

第二、主張と答弁

(1)  請求の原因(原告の主張)

一、訴外株式会社竹崎商店(以下「破産会社」という)は昭和三八年一〇月三日支払停止となり、同三九年四月一〇日東京地方裁判所で破産宣言の決定を受け、原告がその管財人に選任された。

二、破産会社は昭和三八年夏ごろから経営不振となり、破産すること必至の状態となったが、破産会社代表者竹崎敏一は同会社が右のごとき状態にあり、したがって特定の債権者だけの債務を弁済すれば他の一般債権者を害することを知りながら、同年同月二八日被告会社に対し同会社への約四〇〇万円の買受金債務の一部の代物弁済として、破産会社所有にかかる別紙第一物件目録に記載の価額合計二百二万二、九六八円の商品(以下「第一商品」という)を引渡し、被告会社はこれを同年九月中に処分した。

三、(イ) 破産会社は支払停止後の昭和三八年一〇月六日および同年同月二一日の両日にわたり、その所有にかかる別紙第二物件の目録に記載の価額合計六三万四、四一〇円の商品(以下「第二商品」という)を被告会社と合意のうえ引渡し、その所有権を同会社に移転させ、右所有権移転に伴う債務と同会社の破産会社に対する債権とにつき相殺適状を生じさせ他の一般債権者を害する行為をしたが、同会社はその当時破産会社が支払停止となった後であることを知っており、その後右商品を処分した。

(ロ) 仮に右の主張が認められないとしても、被告会社は第二商品の引渡を受ける前日の昭和三八年一〇月五日、破産会社がすでに支払停止となっていることを知りながら、同会社に対し右商品を製造元に返品しその代金を破産会社に支払う旨約定しその旨の債務を負うにいたったが、その頃被告会社の破産会社に対する売掛金債権の内金六三万四、四一〇円と対等額において相殺した。ところで、破産者の債権者が支払停止のあったことを知りながら破産者に対して債務を負担した場合に、これを相殺の用に供しうるかに関しては破産法に何ら明文の規定がないが、この場合にも破産者に対する債権の実価は下落しているのであるから、これと実価のある破産者に対する債務との間に相殺を許せばその債権者のみが破産財団の損失において完全な弁済を得ることになり、破産債権者間の公平弁済を目的とする破産法の精神が阻害されることになるため、同法一〇四条三号の規定が同条二号の規定を危機時期まで遡らせている法意にかんがみ、この場合にも同条一号により右相殺は無効と解すべきである。もし右相殺が無効でないとしても、被告会社は破産会社の支払停止となっている事実を知りながら右相殺をしたものであるところ、右相殺は債務消滅に関する行為であると同時にその方法が破産者の義務に属しないものである。

(ハ) 仮に第二商品が被告会社のもとに現存するとしても(後記、(2)の四における被告の主張参照)、右商品は食料品であるからその特質にかんがみ取引の時から三年前後も経過した今日これが引渡を受けても該商品は当時の価額を喪失しているため、破産財団を原状に復することはできないし、また現在では破産会社が営業を継続していないこと、右商品が被告会社により不良品である旨の風評が流布され換価するのが困難な事情にあることなどを考えると、右商品の引渡を求めることは破産財団を原状に復せしめる方法としては実状に適しないため、右商品の現状回復に代わるべき該商品相当額の償還を求めるのである。

四、よって原告は、破産会社の前記第二項の第一商品を被告会社に対して引渡し代物弁済に充てた行為、前記第三項の(イ)における第二商品の所有権を被告会社に引渡し相殺適状を生じさせた行為、同(ロ)における相殺行為をそれぞれ否認し、第一商品および第二商品の合計価額相当の金三〇五万七、三七八円および第一商品の相当価額に対するこれを処分した日の翌日より、また第二商品の相当額に対するその引渡行為完了の最終日の翌日より、それぞれ完済にいたるまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(2)  請求の原因に対する答弁

一、請求の原因第一項の事実は認める

二、請求の原因第二項については、被告が原告主張の日に被告会社から引渡を受けたのは、別紙第三物件目録に記載の価額合計二一六万一、九七八円の商品(以下「第三商品」という)である。

被告会社は昭和三八年八月下旬破産会社より支払手形が期日に支払えないので一〇〇万円の資金援助をしてほしいとの依頼を受けたが、被告会社はその頃破産会社に対して約四〇〇万円の売掛代金債権を有していたので、さらに一〇〇万円の債権を増加させるときは、被告会社の資金繰も苦しくなるので、右売掛代金が少しでも減少できるならば考慮しようと回答した。それに対して、破産会社は二五〇万円程度の商品を売渡すから、そのうち一〇〇万円は現金払とし、残金一五〇万円は売掛代金と相殺して貰いたいと新たな申込みをしてきたので、被告会社はこれを承諾し、昭和三八年八月二五、六日頃前記第三商品を買受け、同年同月二八日これが引渡しを受け、その代金のうち一〇〇万円は現金で支払い、残額は同年一〇月三一日破産会社に対する既存の売掛代金と相殺して決済したのでいる。

三、訴求の原因第三項の(イ)のうち、破産会社が支払停止後の昭和三八年一〇月六日および同年同月二一日の両日にわたり、第二商品を被告会社と合意のうえこれを同会社に引渡したこと、その当時破産会社が支払停止になった後のことであるのを被告会社が知っていたことは認めるが、その余の事実は否認する。右商品は被告会社の所有に属するものではない。同項(ロ)のうち、被告会社が第二商品を引取って間もない頃、したがって被告会社が破産会社の支払停止となっている事実を知りながら、破産会社に対する売掛金債権の内金六三万四、四一〇円と対等額において相殺したことは認める。

被告会社は昭和三七年七月一五日第二商品を藤代商店こと訴外斉藤恒次を通じて破産会社に売渡し、ついで右訴外斉藤が破産会社から買受け、さらに同訴外人がこれを藤代商店の名で訴外やまみ商店に売渡したのであるが、右商品が浜松で中毒事件を起こした不良品であるということで返品を要求されていたところ、右訴外やまみ商店が昭和三八年八月二四日頃倒産し、その私的債権者会議でこれが処置が問題となっていた。ところが右訴外商店の帳簿では該商品はすでに倒産前の同年八月一二日付で返品扱となっていたので、右私的債権者会議でこれを前記訴外斉藤に返品することになったが、右会社には被告会社のほか破産会社、右訴外斉藤その他の全債権者が出席しており、前記のごとき商品を右のように不良品として返品するときは、業界の慣習として元荷主たる被告会社に直接返品されることになっているため、被告会社がその返品を受けることに関係者が了解した。しかるにどうした手違いからか、右商品が破産会社の倉庫に入って保管されていたので、被告会社は昭和三八年一〇月五日に開かれた破産会社に対する私的債権者会議の席上で、右の事情を説明し返還を要求したところ、同会議は被告会社の破産会社に対する売掛金債権と相殺することを条件として承諾し、破産会社もこれに同意したので原告主張の日にこれが引渡を受けたのである。このように右商品はもともと被告会社が直接返品を受けるべき筋合のものであったところ、誤って破産会社の倉庫に入っていたため、全債権者および破産会社の同意のもとに引渡を受けたのであるから、それが他の債権者を害する行為となるいわれはなく、否認権の対象となるものではない。

四、請求の原因第四項は争う。

原告は第二商品が被告会社に引渡されたのち処分され現品が存在しないことを前提として右商品に相当する金員の支払を請求している。しかし右商品は不良品であるため他に処分することができず、メーカーに返却するほかのないものであり、被告会社はメーカーに返品する目的で引取り現にこれを保管中である。したがって、原告は本位的請求として右商品の引渡を求めることが可能であり、予備的請求としてのみ金員の支払を求めうるにすぎないにもかかわらず、本位的請求として商品価額相当の金員の支払を求める本訴請求は違法である。

(3)  抗弁(被告の主張)

被告会社は前記、(2)の第二項の売買当時、破産会社が破産状態にあるなどということは予想だにせず、したがってそれにより他の一般破産債権者を害することなどということは全然知らなかった。右商品の売買は純然たる商取引であって、原告からとやかく云われる性質のものではない。

(4)  抗弁に対する答弁

抗弁事実を否認する。

第三証拠関係〈省略〉

理由

一、破産会社が昭和三八年一〇月三日支払停止となり、同三九年四月一〇日東京地方裁判所で破産宣告の決定を受け、被告がその管財人に選任されたことは当事者間に争いがない。

二、被告会社が昭和三八年八月二八日破産会社からその所有にかかる商品相当量の引渡を受けたこと、右商品のうちに別紙第一物件目録の番号1ないし4、6、7、10、12ないし25に記載のマーク、品名、種別、数量(その単価および金額はしばらくおく)のものが含まれていたことは当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第一号証の三、四、五、六によれば、右商品のうちに別紙第一物件目録の番号、5、8、9、11に記載のマーク、品名、種別、数量のものが含まれていたことが認められ、右認定に反する乙第二号証、証人松田任司の証言は信用しない。

右のように破産会社が被告会社に対し前記商品を引渡した趣旨について検討するに、成立に争いのない乙第一号証、証人佐々木茂樹の証言によって成立を認めうる甲第五号証の一、二、弁論の全趣旨によって成立を認めうる甲第六号証および証人竹崎敏一、村山一馬、佐々木茂樹の各証言ならびに証人松田任司の証言の一部を総合すると、被告会社は昭和三八年夏頃営業不振となり、とくに同年同月二四日ごろ取引先の訴外やまみ商店が倒産したのちは経営困難に陥り、期日の切迫した支払手形の弁済に困難な状態にありその対策に苦慮していたところ、その頃破産会社に集金のため訪れた被告会社の専務取締役松田任司より破産会社代表者竹崎敏一に対し一〇〇万円程度ならば融通をしてもよいとの申出があったため、右竹崎は直ちにこれを承諾し、被告会社より破産会社に対し弁済期約二カ月後の約定で一〇〇万円を貸付けることになったが、被告会社において右貸金の見返り(担保)となるべきものとして貸金額の倍額程度の価額の商品を預託するためその引渡方を求められたので(弁済期日までに借受金を返済すれば、右商品を返還するとの約定であった)、破産会社としてもこれを承諾し、破産会社と被告会社で協議のうえ破産会社の倉庫に在中の、とくに商品価値があるとみられる前示商品を選択したうえ、昭和三八年八月二八日これを被告会社に引渡すとともに、同会社より破産会社が前示一〇〇万円の金員の交付を受けたことが認められ、右認定に反する乙第二号証および証人松田任司の証言部分は前示各証拠に対比したやすく措信できず、他に右認定に反する証拠はない。

原告は破産会社の前示第一商品の引渡は、被告会社に対し同会社への買受金債務の一部の代物弁済としてしたものであり、これを否認すると主張するが、前示認定のとおり右引渡は被告会社からの借入金一〇〇万円に対する担保に供する目的でされたものであるにすぎず、右否認の対策として主張する破産会社の行為の存在が認められない。したがって、原告が破産財団の所有に関する右商品の引渡、もしそれが処分ずみであれば現物に代わる填補賠償を請求するならば格別(理論上は破産会社の前示担保設定行為を否認することも可能であろう)、前示代物弁済行為に対する否認権の行使を前提とする請求は、その余の点につき判断するまでもなく、失当というほかはない

三、破産会社が支払停止後の昭和三八年一〇月六日および同年同月二一日の両日にわたり、第二商品を被告会社に引渡したことは当事者間に争いがない。

原告は、右第二商品がその引渡当時破産会社の所有に属するものであったと主張するので、これを審案するに、被告会社が昭和三七年七月一五日第二商品を藤代商店こと訴外斉藤恒次を通じて破産会社に売渡したことは被告の自認するところであり、前示乙第一号証、証人竹崎敏一、村山一馬、佐々木茂樹の各証言を総合すると、(イ)第二商品を買受けた破産会社はさらにこれを右訴外斉藤を通じて訴外やまみ商店に売渡していたところ、右訴外商店が昭和三八年八月二四日ごろ倒産したため、右商店に多額の売掛代金債権を有する破産会社らは右債権の回収ないし減額につき関係者間に対策を講じていたが、第二商品が売却されないままに残置していることを知り、右訴外会社の私的債権者会議に出席した破産会社、被告会社および訴外斉藤らにおいて、右商品が実際には不良品でないにもかかわらず、その現物を回収する方便として、右商品が浜松で中毒事件を起こした不良品であるから製造店に返品しなければならないものである旨を述べたところ、右債権者会議でもそれが不良品であれば仕方がないから仕入先に返品してもよいと決ったこと、(ロ)そこで右三者でさらに右商品の事後処置について協議したが、被告会社では右商品を製造元に返品できないから破産会社で売却して貰いたいと述べたりなどしたため、結局右商品を破産会社の倉庫に入れたこと、(ハ)食料品の取引にあたり小売店ないし末端に近い卸売業者から返品がされる場合、中間または直接の卸売業者を飛びこえて元荷主(本件では被告会社)に返されるというような業界の慣習は存しないこと、(ニ)昭和三八年一〇月五日に開かれた破産会社の私的債権者会議でも右商品の所有者が破産会社であることを前提とする論議がされていることが認められ、(ホ)それに破産会社が右商品を引取ってからこれを被告会社に引渡すまで一ケ月以上の間、訴外斉藤はもとより被告会社においても右商品の引取方を申出た事実を認めうる証拠がないことを考えあわせると、破産会社が第二商品を被告会社に引渡した当時においては、その所有権が破産会社に属していたものと認めるのが相当であり、これに反する証人松田任司の証言はこれを措信せず、他にこれを覆すに足る証拠はない。

つぎに破産会社が自己の所有に属する第二商品を被告会社に引渡した行為が他の破産債権者を害する行為であるか否かにつき判断する。前示乙第一号証、証人村山一馬、佐々木茂樹の各証言によれば、昭和三八年一〇月五日に破産会社に対する多数の債権者が出席して開かれた私的債権者会議において第二商品を被告会社が責任をもって製造元に返品する趣旨で同会社に返品することに決まり、破産会社もこれに同意し(すなわち、その所有権を移転することに同意し)、それにしたがって商品の引渡を履行したが、その条件として被告会社は右商品を製造元に返品し、その代金を右債権者委員会(実質は破産会社)に入れることが定められたことが認められ、これに反する証拠はない。しかして、右条件が被告会社において右代金返済債務と破産会社に対する債権とを対等額において相殺することを禁止する趣旨まで含んでいることを認めるに足る証拠がなく、しかも右相殺がなされてもそれは破産法一〇四条によっても禁止の対象とされていないから、これを有効とみるほかはない。しかしながら、破産者が支払停止後に一部の破産債権者に対して自己の所有に属する商品を譲渡し、その債権者に対し右代金債権と既存債務との相殺を禁じないならば、右破産債権者が相殺をするのは取引界においては必然のことであるといっても過言ではない。してみれば、右のような破産者が一部債権者との間の合意によって破産者所有の財産の所有権を一部の破産債権者に移転し相殺適状を生じさせた行為は、実質上代物弁済と同視すべきであり、それは特定の破産債権者に対する債務を一方的に消滅させることにより、破産債権者にとっての共同担保たる将来の破産財団を滅損させ、他の破産債権者の利益を害するにいたるから、いわゆる「破産債権者を害する行為」に該当すると解するのが相当であり、かつ右行為当時それによって利益を受けた被告会社において破産会社がすでに支払停止となっていた事実を知つていたことは当事者間に争いがないところであるから、破産会社の前示行為は破産法七二条二号に該当し、否認権の行使により否認されるものといわねばならない。

そこで進んで原告の填補賠償請求の適否について審究するに、破産会社の前示商品の譲渡により相殺適状を生じさせた行為が否認された場合には、被告会社に対し第二商品の引渡請求権が原告に生ずるのは当然の効果であるが、もし右商品が現存せず、もしくは長期間放置したためその価値が滅失ないし減少しているなどの事情がある場合には現物回復に代えて、該商品を被告会社が引渡を受けた当時価額に相当する金員の償還を請求することができる。これを本件についてみるに、証人村山一馬の証言および証人松田任司の証言の一部を総合すると、破産会社につき破産宣告があったのち、原告や原告の管財事務補助者村山一馬が破産会社に対してしばしば第二商品の存否を確認しようとしたが、同会社、専務取締役松田任司は、「すでに返品済であって現存しない」と述べたり、「倉庫の一番奥に入っているから、倉庫を片づけてから見にきてくれ」などと述べ言を左右にしてこれに応じなかったため、昭和三九年九月下旬ごろ右村山において電話もせず突然被告会社に赴きその確認をしようとしたところ、右松田は「他人は一切倉庫に入れられない規則になっているから、倉庫に入って貰っては困る」などといってこれに協力しないばかりか、カニチーズのケース一個を持参し(それが第二商品の一部であるか否かも明らかでない)、「これであることにしてくれ」と述べるため、やむなく村山がそれを開けさせてみたところ、容量の半分もカニチーズが入っていなかったことが認められ、これに反する証人松田任司の証言部分はとうてい信用するに価しない。以上の事実によれば、第二商品はすでに被告会社が処分し、その管理下に現存しないものと推認するのが相当である。しかして、第二商品を破産会社が被告会社に引渡した当時における該商品の価額合計額が金六三万四、四一〇円であることは前示のとおりであるから、被告は原告に対し第二商品の現物回復に代えて右の価額を償還するべき義務がある。また否認権行使の効果は否認の対象たる行為の当時に遡及して生ずるのであるから、本件においては少くとも破産会社が否認の対象となる行為をした最後の日の翌日たる昭和三八年一〇月二二日より完済にいたるまで、被告は原告に対し右償還金に対する民事法定利率年五分の割合による遅延損害金を支払うべきである。

四、よって原告の本訴請求は、前項に説示した限度において理由があるので認容し、〈以下省略〉。

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